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「美味しい」の感覚を守る歯科医師としての使命

こんにちは、天神オーラルケアクリニック院長の今里です。前回は私が歯科医師を志したきっかけと当院の理念についてお話ししました。今回は私の歯科医師としての歩みと、患者さまから学んだ大切なことについてお伝えしたいと思います。

歯科医師としての学びと挫折

日本歯科大学を卒業し、歯科医師としての第一歩を踏み出したとき、私は「痛みを取り除くこと」が最も重要な仕事だと考えていました。確かにそれは間違いではありませんが、歯科医師としての経験を重ねるうちに、口腔の健康が人生の質にいかに深く関わっているかを実感するようになりました。

成富歯科医院での勤務時代、ある高齢の患者さまとの出会いが私の歯科医師としての視点を大きく変えました。その方は、長年の歯の問題で柔らかいものしか食べられず、「美味しいものを食べる喜び」を失っていました。適切な治療と義歯の調整により、再び固いものを噛めるようになったとき、その方の喜びの表情は今でも鮮明に覚えています。

「先生、久しぶりにりんごを丸かじりできましたよ」

その言葉は、私にとって歯科医師冥利に尽きる瞬間でした。

「美味しい」を支える歯ごたえの感覚

私たちが食事を「美味しい」と感じるとき、実は味覚だけでなく「歯ごたえ」や「食感」も大きな要素となっています。宇宙飛行士の食事も、最初はペースト状のものでしたが、現在では食感を楽しめる形のあるものに変わっています。これは、歯ごたえのない食事では「食べた気がしない」という人間の本能があるからでしょう。

歯ざわりや歯ごたえという感覚は、どのように感じているのでしょうか?それは主に二つの要素から成り立っています。

1. 歯の感覚:歯の根の周りをおおっている歯根膜の圧力センサーが、食べ物が歯に当たった感覚を知覚します。

2. 咀嚼筋の感覚:咀嚼筋の内部には「筋紡錘」という刺激を感知する組織があり、噛んだときの力を感知します。

これらの情報が総合的に脳で判断され、私たちは「シャキシャキ」「ポリポリ」「パリパリ」など、食材それぞれの特徴的な食感を認識し、美味しさを感じているのです。

患者さまから学んだこと

上田歯科での勤務時代、ある中年の男性患者さまが印象に残っています。その方は歯周病が進行しており、多くの歯がぐらついていました。治療の必要性を説明すると、「歯なんて年をとれば抜けるもの。それより仕事が忙しい」と言われました。

しかし私は諦めず、食事の喜びや会話の楽しさ、そして健康と歯の関係について、時間をかけてお話ししました。特に「歯ごたえ」の大切さについて、科学的な観点からお伝えすると、徐々に治療に前向きになられました。

結果的に、その方の歯を多く残すことができ、治療終了後に「食事がこんなに楽しいものだったとは忘れていた」と言われたことは、歯科医師としての私の自信となりました。

挫折から学んだこと

もちろん、歯科医師としての道のりにも挫折はありました。特に初期の頃は、技術が未熟で患者さまに余計な痛みを与えてしまったこともあります。また、説明不足から患者さまの期待と治療結果にギャップが生じ、信頼を失ったケースもありました。

これらの経験から、「技術の研鑽」と「丁寧な説明」の重要性を痛感し、現在の当院の理念にも反映されています。患者さまとの対話を大切にし、一人ひとりに合った最適な治療を提供することが、私の志となりました。

いつまでも美味しく食べるために

歯科医師としての経験から、私が皆さまにお伝えしたいのは、「自分の歯で噛める喜びを守ってほしい」ということです。仕方なく歯を失ったとしても、適切な治療で噛み合わせを整えることで、歯ごたえを感じることができます。

しかし、やはり自分の歯で噛めることが最も理想的です。日々の歯ブラシケアと定期的なメンテナンスで、いつまでも美味しく食べ物を味わえる日々を過ごしていただきたいと思います。

次回は、患者さまとのコミュニケーション・カウンセリング術についてお話しする予定です。天神オーラルケアクリニックでは、福岡市中央区の皆さまのお口の健康を守るため、これからも患者さま一人ひとりと向き合っていきます。

天神オーラルケアクリニック 院長 今里

 

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