私が歯科医を志したきっかけは、父の診療室で日々繰り広げられる小さな感動の数々でした。今でも鮮明に覚えているのは、ある高齢の患者様の表情の変化です。「今までの入れ歯では噛めなかったのに、先生が作ってくれた入れ歯で久しぶりに美味しく食事ができました」—その喜びに満ちた声と笑顔が、幼い私の心に強烈なインパクトを残しました。
父は常々「知識と技術を活かして行った治療で人を喜ばせることができる。これほどやりがいのある仕事はない」と語っていました。その言葉が、私の進路を決定づけたと言っても過言ではありません。こうして私は、父の背中を追いかけるように歯科医師への道を歩み始めました。
歯科大学の学生時代は、卒業試験や国家試験に向けた学術的な知識の詰め込みに必死でした。しかし、実際に歯科医師として現場に立った時、教科書の知識と臨床現場での実践には大きな隔たりがあることを痛感しました。
勤務医時代、尊敬する院長から「一度削ってしまった歯は二度と元には戻らない。正確に、そして患者さんに負担なく治療できるかどうかは、歯科医師の知識と技術にかかっている」という重要な教えを受けました。
その言葉を胸に、毎日診療後も模型と向き合う日々が始まりました。模型を削っては院長に見てもらい、「なぜこの形態が理想的なのか」「どうすれば精密に削れるのか」を教科書と格闘しながら学びました。この地道な反復練習が、現在の私の技術の礎となっています。
さらに院長から学んだ重要な教えは、診断における「全体観」の大切さでした。
「一本の歯だけを診ていても、患者様を良い方向へ導くことはできない。同じ歯でも一つ一つがオリジナルであり、隣接する歯との関係、全体の歯並び、噛み合わせのパターン、周囲の歯肉や筋肉の状態—これらすべての要素を総合的に判断してこそ、精度の高い診断と治療計画が可能になる」
この教えに従い、患者様の資料と真摯に向き合い、何度も治療計画を練り直し、患者様と一緒に最適な治療の道を探る診療スタイルを確立していきました。
勤務医として数年が経った頃のことです。自分が治療した歯が再び虫歯になったと来院された患者様がいました。その方は人気美容師で、開店から閉店まで予約でびっしりの状態。まとまった食事の時間が取れず、合間にチョコレートを食べることが習慣になっていたのです。
この経験から、治療の技術だけでなく、患者様の生活環境や食習慣、セルフケアの方法、そして定期的なメンテナンスの重要性をしっかりと理解し実践していただくことの大切さを学びました。
「治療して治す」ことよりも「病気にならない口腔環境づくり」—これこそが私たち歯科医師の果たすべき本当の役割なのではないでしょうか。
歯科医師としての道は、まだまだ学びと挑戦の連続です。日々進化する治療技術や材料、研究結果を常にアップデートしながら、患者様一人ひとりに最適な医療を提供していきたいと思っています。
そして何より、「どうしたら健康でいられるか」「どうしたら病気にならないか」という予防の知識をこれからも患者様にお伝えし続けることで、地域の皆様の口腔健康に
貢献していきたいと考えています。
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